WPUS(Water Intake Pancreatic Ultrasonography)は、腹部超音波検査において膵体部・膵尾部の描出
(見えやすさ)を改善するために、飲水(胃充満)を利用して音響窓を確保する検査手技です。
通常の膵超音波(baseline US)に追加して実施し、同一患者・同一検査の中で描出範囲の改善を評価できます。
WPUSの正式名称と略語
膵臓(特に膵体尾部)は、胃・結腸ガスや体型の影響を受けて、腹部超音波で十分に描出できないことがあります。
膵臓は、早期膵癌の発見が難しい臓器であり、「見えない」こと自体が診断の制約になります。
WPUSは、飲水によって胃内容を調整し、膵体尾部への音響窓を得ることで、従来法では見えにくい範囲の描出改善を
目指します。
WPUSは「新しい装置」を使う方法ではなく、通常の腹部超音波検査に追加する手技です。
同一検査内で「飲水前」と「飲水後」を比較できるため、描出改善を定量的に扱いやすい点が特徴です。
**PIS(Pancreatic Image Scale)は、膵体尾部を中心とした膵臓の描出範囲(visualization
range)**を段階的に評価するスケールです。
WPUSの価値は「良く見える気がする」ではなく、どの程度描出範囲が改善したかを一定のルールで示せるかにあります。
本サイトでは、WPUSの臨床的有用性を説明するために、PISを併用して解説します。
(※PISの詳細定義・図・判定ルールは、別ページ「PISとは」にまとめます)
よくある質問(FAQ)
膵体尾部が描出しにくい症例や、通常検査で描出範囲が限定される症例で、追加手技として検討されます。
飲水と追加走査を行うため、通常の腹部超音波より時間が延長します。運用方法は施設の検査フローに合わせて
設計が必要です。
飲水が難しい状態や、臨床状況により適さない場合があります。適応判断が重要です。
医療者の方へ(このページの位置づけ)
本ページは、WPUSという検査概念の定義と全体像を示す「入口ページ」です。
手技の具体(飲水方法、実施タイミング、体位、走査順序、注意点)と、PISの評価方法(判定ルール、再現性、
教育方法)は、順次ページを分けて掲載します。
WPUSの有用性(膵体尾部描出改善)と、その改善に寄与する要因について、原著論文として報告しています。
当院の過去の研究・学会報告
2016年 日本消化器病学会(JDDW消化器病週間)(神戸)
膵臓癌スクリーニングにおける飲水腹部超音波検査と体位変換の
有用性についての検討
2017年 日本消化器がん検診学会総会(筑波)
膵精密超音波検査において膵臓の描出に有効な体位の検討
(一般部門学術奨励賞受賞
2018年 日本超音波医学会 第91回学術集会 (神戸)
膵臓超音波検査における体位変換と飲水法の効果の検討
Covid19にてしばらく学会活動休止
2017年制定の個人情報保護法および2018年制定新臨床研究法に沿い、
国の定める倫理委員会の手続と審議を経て許可を得てその後の研究を行って
います。またオプトアウト等にて、個人の情報利用の権利を保護しています。
2025年5月 第98回日本超音波医学会シンポジウム 超音波による膵癌早期診断
京都国際会議場メインホール
演題名 飲水膵臓超音波検査(WPUSの有用性と膵臓がん早期診断の手法と
しての検討
2025年6月 World Federation for Ultrasound in
Medicine and Biology(WFUMB)
The 20th WFUMB(WFUMB 2025)
Title: ENHANCED VISUALIZATION WITH WATER INTAKE PANCREATIC ULTRASONOGRAPHY
(WP-US): EFFECTS OF BMI AND ANATOMICAL FACTORS
ENHANCED VISUALIZATION WITH WATER INTAKE PANCREATIC ULTRASONOGRAPHY (WP-US):
EFFECTS OF BMI AND ANATOMICAL FACTORS - Ultrasound in Medicine and Biology
https://www.umbjournal.org/article/S0301-5629(25)00713-6/abstract
論文
2025年12月 Journal of Medical Ultrasonicus
https://doi.org/ (準備中)